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米国で生き残れないWeb制作会社事情を読んで思う、日本の事情。

2013年11月06日 · カテゴリ:雑記

先日、freshtrax というブログの「アメリカでWeb制作会社が存在出来ない5つの理由」という記事を関心をもって読みました。

記事によると、米国ではWeb制作というサービスで生き残ってゆくのは不可能に近いとか。

片や日本では?とWeb制作業界の端で禄を食む自分としても気になる話題でして。
やはり米国事情がそのまま日本に上陸するわけでもないとは感じつつも、こういう記事は、日頃自分では考えないようなテーマを投げかけてくれてありがたいです。

さて、米国事情の詳細は上記のリンク先の記事を読んでもらえばわかりますが、その概略を抜粋引用して書くと、

1. 多くの企業はWebに関する機能を社内に持つ
大企業を中心にWebに関連する部署、もしくはスタッフを社内に抱えているケースが一般的。

2. 外注コストの低下
英語を公用語とするアメリカでは、別に国内でなくても英語が通じる他の国及びそこに住んでいる人々に仕事を発注する事も珍しくは無い。

3. フリーランサーの存在
(日本だとフリーで仕事をしている人達は非正規雇用という事で)アメリカではフリーで働く事は一つの憧れでもあり、特にデザイナーは自身の実力一つで有名企業の仕事を請負う事がステータスにもなっている。

4. 凄いデザイン会社を作った際の落とし穴
デザイン会社や開発会社で働くそのような”すごい”技術者を(スタートアップを中心に)平気で倍以上の給料で引き抜く事が珍しく無く、デザイン会社の存続が危うくなりやすい。

5. スタートアップによるデザインスタジオの買収
IT企業がこぞってデザイン会社の買収に走る自体が発生している。

すみません、かなり乱暴な抜粋引用です。
繰り返しますが、詳細は上記のリンク先の記事を読んでください。

さて、では日本の事情は?となりますが。
まず、1番目の(米国では)「多くの企業はWebに関する機能を社内に持つ」とありますが、日本はまだ少数のように思います。もちろん内制化している企業はありますが、あっても”半”内制化止まりがほとんどではないでしょうか。

その理由の1つとして、米国よりネットビジネスの数や規模、市場が小さいことも考えられますが、それ以上に日本の人事慣習(方針)に依るところが大きい気がします。

制作系専門職と総合職では社員教育や人事方針が違ってきますが、おおむね日本の一般企業は(研究・開発・技術職は除くとして)人事異動で回せないような制作系専門職を正社員で雇うのは稀で、あっても派遣社員さんまで。
Webサイトの運営(制作)部のようなものがあったとしても、数年で異動があるため、部内で管理やプロデュースの担当までは実行し、運営制作は派遣さんでグランドデザインは外注(アウトソーシング)となることが多いと思います。

次に2番目の「外注コストの低下」。
これは米国に限らず、日本でも同じでしょうけれど、確かに英語と違い、我々日本のWeb制作会社は「日本語」の壁で守られているケースはあると思います。

最近では中国で(日本語ができる現地のスタッフが)コーディングやりますとか、オペレーションします、プログラミングしますといった、オフショア開発的な流れも聞きますが、もし流れるとしてもクライアント企業が直に発注するところまでは行きついていないと思われます。

3番目の、「フリーランサーの存在について」ですが、ネタ元のブログにある”日本だとフリーで仕事をしている人達は非正規雇用という事で”というのは異議ありで、単純に日本の事情を誤解しておられるだけかと思います。
日本のフリーランスはご存じの通り、企業の雇用を経てフリーになる方が多く、1つの職の形態という意味において米国と変わらないのではないでしょうか。
ただ米国の事情は知りませんが、日本ではフリーランスの方が、クライアント企業(特に大手企業)の仕事を直接請負うケースは少ないはず。
大手企業は「広告代理店」→「制作会社」といった形をとりたがりますし、フリーランスもよっぽど有名人でなければ「制作会社」→「フリーランス」という流れで組み込まれるケースが多いと思います。

流れはいずれにしても、Web系フリーランスの方々がWeb制作会社の立場を揺るがすような状況には(少なくとも日本では)ないと言えます。ただ、Web制作という歴史がまだ10数年と浅い今日ですが、今後は制作会社は今以上に在宅スタッフを加えたり、フリーランスと業務委託契約を結ぶような形態も増加するように思います。

また(ちょっと脱線しますが)、懸念することとして、昨今のネットで案件を募集して、とんでもない安い金額でオファーをかける会社があります。見る限りではいわゆる制作会社ではなく、新興ベンチャー系に見えますが、劣悪な条件でフリーランスを使い捨てるような会社は、ぜひ淘汰されてほしいと個人的に願っています。

4番目の、「凄いデザイン会社を作った際の落とし穴」と5番目の「スタートアップによるデザインスタジオの買収」について。
日本のWeb制作業界においては、まだM&Aも引き抜きも珍しいですね。吸収合併された制作会社も個人的には知ってますので、ないわけではありませんが、まだまだレアケースかな。
制作会社も買収を持ちかけられる=「成功」と見る傾向のある米国と、買収されたら「負け」的な日本の文化・風潮もあるんではないでしょうか。
ただ、M&Aといったレベルではないですが、制作会社間では業務提携というレベルでのニーズ、傾向はあると言えます。
やはり制作会社は受注産業ですから、どうしても強み、弱みができてしまうわけで、その凸凹を補う意味で。

記事の途中ですが、上記の「スタートアップ(企業)」という言い回しですが、私は単純に”ユニークなITベンチャー”みたいに思ってましたが、改めて探すと、ネタ元のfreshtraxブログにありました。

ベンチャー企業とスタートアップの違い(freshtrax)
スタートアップを一言で表現すると、“新しいビジネスモデルを開発しごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを狙う事で一攫千金を狙う人々の一時的な集合体”である。

なるほど、勉強になりました。
ただ、「一攫千金」という熟語が使われるとマイナスなイメージが強いですね。
ま、それはいいとして。

挙げられていた米国の事情(5つの項目)に沿って、日本ではどうなのか?とダラダラと思ったことを書いてきましたが、その他、上記5項目では収まらない日本ならではの事情も数多くあるように思います。

ただ、グローバル化がどう影響するのかわかりませんが、今後、国内のWeb制作会社の事情も当然変化するでしょうね。
今までの(Web商用解禁後の)約20年が、右肩上がりで来たのは、ある意味(Web制作会社にとっては)平和だったと思います。

暫くはWeb制作というサービスの需要が減少するとは思えませんが、まだ需要がある今こそ、Web制作会社もそれぞれの強みをさらに強化し、特徴づけていかないと、淘汰されるか、はたまた単なる下請け業者になってしまうかも知れませんね。「Web制作」というビジネスは「Web制作会社」の専売ではないのですから。

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