駅から近いとか、陽当たりが良いとか、部屋がきれいとか、こだわりをもって部屋を決めた方も、入居して暫くしたら光熱費や水道代の請求を受けると思います。
「あれ?一人暮らしなのに、こんな金額になるの?」とか、「これぐらいが相場?」とか初めての方は戸惑うことで多いのが光熱費や水道代ではないでしょうか。
特にアパート・マンションの水道代は謎というか、なぜ大家さん(管理会社)からの請求?とか、不思議に思っている方も少なくありません。
水だけに透明性が欲しいところです。
(誰がうまいことを言えと・・・)
水道料金が直接水道局から請求が来る場合は正確なメーターに基づいているかと思います。
しかし、もし大家さん(管理会社)から請求が来る「親メーター方式」の場合(親メーター方式)なら、使用水量が記載された明細書をもらうべきかと思います。
ただし、残念ながら「出ない!」と言われる場合もあるようで、まだこれから入居検討の段階でしたら事前に確認すべきかと思います。
親メーター方式で、請求書に使用水量の記載はないと言われたら、入居検討時の評価を下げたほうがいいかも知れません。
入居してしまった方は後の祭りですが・・・。
先日聞いた話。
昨年末、1人暮らしの甥が職場を異動になり、あわただしく地方に引っ越しました。
たまたま昨日、LINEで落ち着いたか?と連絡してみると、今日来た水道代がオカシイと返事でした。
イキナリ水道代の話?と訝りながら話を聞くと・・・
2016/11/13~1/9の期間の水道代を賃貸マンションの管理会社から請求された。
水道代は2か月に1回の検診と支払いなのだが、22m³を使ったということで4,295円が請求された。
金額的には1ヵ月およそ2,150円程度なので、高くはないのですが、甥いわく
2016/11/13~1/9の期間とあるが、年末に引っ越しして実質的に水道を使っていたのは帰省の期間を引くと10日ほど。
前の住人の分は引っ越し時に清算されているはずなので、たった10日間で22m³使うはずがない。
とのことで、長々とLineで事情を書いて、おまけに水道代の清算書の写真まで送ってきました。
甥も、金額というより使用水量に対して不信感を持ってしまったようです。
普通、1人暮らしだと月の水道代使用料は6~8m³ぐらいという話を聞いたことがあるので、普通の1人暮らしの約3か月分をたった10日間で使うとは考えづらいです。
ちなみに、東京都水道局で1か月あたりの平均使用水量の資料がありました。
世帯人員 | 使用水量 | 世帯人員 | 使用水量 |
---|---|---|---|
1人 | 8.0m³ | 4人 | 25.1m³ |
2人 | 16.2m³ | 5人 | 29.6m³ |
3人 | 20.8m³ | 6人以上 | 35.4m³ |
(東京都水道局平成24年度生活用水等実態調査)
この表では1人8.0m³ぐらいとのこと。
実際に「10日間で22m³」を使うペースで2か月(60日)、呼び径20mmで水道代を下記のサイトで計算すると・・・。
東京23区ではありますが、上水道だけで2か月分は25,138円(下水道料金は除く)になってしまいます。
知恵袋に
アパートの水道料金が高くて困っています。
という質問があがっていました。
この質問者は女性・学生・1人暮らしで、2か月半)で、12,890円という高い請求をうけていました。
このベストアンサーを見ると
(抜粋)
「親メーター方式」と言われるものです。通常は、各部屋に水道局のメーターが付いていて、検針も請求も水道局でやってくれます。この場合、大家さんが水道局に水道加入金なるものを部屋数分納めなければなりません。
あなたのところは、その水道加入金をケチって、アパートなど建物で1つ分しか納めなかったと言う訳です。
(中略)
各部屋についているメーターは、大家さんが料金の目安にするために付けただけで、水道局とは関係ありませんし、料金の算出方法や金額などは、大家さんで勝手に決めることが可能なのです。
なるほど。
甥も住んでいる自治体の水道局ではなく、賃貸マンションの管理会社から請求が来たということは、「親メーター方式」です。
甥が知恵袋の質問者よりマシなのは、管理会社が明細書に使用水量を記載していることですが、もし明細書に記載された使用水量が管理会社にごまかされていたら、立派な詐欺です。
この使用水量が正しいとなると、前の住人が清算後に引っ越し掃除とか、管理会社がリフォームで大量に使ったとか、漏水しているか、誤ってか作為的かは別として前の住人の使用水量分が含まれているのかも知れません。
結局、甥が賃貸マンションの管理会社に聞くと、次の請求まで様子見とのことになったようです。
(2017年3月21日追記)
さて、甥から続報が来ました。
おさらいすると、年末に引っ越しして実質的に10日ほどしか水道を使っていないのに22m³の水道代4,295円を請求された、という件で、賃貸マンションの管理会社が次の請求まで様子を見させてほしいということでした。
そして3月のメーターは、8m³。
写真にあるとおり、管理会社の言い訳は
今回の水道料金は基本料金¥2,736でした。初回に関してはリフォーム会社が大量の水をしたようで大変ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。前回を基本料金とし、今回調整させて頂きました。
とのことで、前回の4,295円にて基本料金を超過した1,559円を、今回の基本料金から値引きして請求があったようです。
ある意味、管理会社が自由に決めている感ありありですが、これも「親メーター方式」だからできる技です。
少し怒りっぽい甥ですが、納得できたようでなによりです。
私はアパートの大家ですが、新築時に市の水道局から強制的に親メーター方式にさせられました。
(以下の説明は、私の住む市の例であり、他の地方では違うかもしれません)
・各戸(8戸)は13口径:メーターは大家が設置
・親メーターは50口径:メーター水道局が設置
50口径は13口径より、加入金(初期工事料)や毎月の水道料金の基本料が高く設定されています。、
水道料の徴収と支払いについては以下のようにしています。
・入居者には市の13口径の料金表に従い請求
・市には50口径の料金表に従い支払い。
50口径の基本料は高いので、支払料金は13口径の1.5倍ぐらいになります。
つまり、各戸からは公営水道料金と同額しか集められないのに、水道局への支払いは戸別の合計より高く、大幅な逆ざやになっています。さらに
・メーターの設置代・メンテナンス費用、検針手数、収納手数、トラブル等のリスクがあります。
もし、逆ザヤ解消と検診手数料、集金手数料、トラブルリスク等を勘案するならば、大家としては市の一般料金の2倍ぐらい入居者に請求したいのですが、入居者さんに納得してもらえないでしょう。
結論として、親メーター方式は水道料の高額徴収、初期工事代の節約、検針、徴収の手数省力化等市側に大きなメリットがあり、これは市の政策なのです。その市のメリット分は、大家(もしくは入居者さん)が負担しているのです。
貴重なご説明、ありがとうございます。
結局、この方式は市側の利益最大化の政策で、大家さんにもメリットがない(リスクの高い)方式だということですね。