昨日(2015.08.11)の朝日新聞の記事があまりにも中途半端なため、なんだかよく解らないと思っていたのですが、その記事を見て同様に思う読者が多いことに気づきました。
そもそもの朝日新聞の記事は下記。
化粧品「解約」したのに高額請求 女性ら次々訴えられる
朝日新聞デジタル 8月11日(火)11時40分配信化粧品を買う契約をしたあと、クーリングオフをして解約したはずが、高額な代金の支払いを要求される――。若い女性らが被告となるこうした裁判が東京地裁で相次いでいる。原告は化粧品販売会社から代金支払いを求める権利(債権)を買い取ったとする金融会社。女性らの弁護団は「クーリングオフを免れる悪質で巧妙な仕組みの契約になっている」と指摘する。
(中略)
女性らの弁護団によると、2009~12年ごろ、女性らは化粧品販売会社の関係者から「化粧品を買えば無料でエステが受けられる。化粧品の代金は自分たちが負担する」と勧誘され、化粧品を分割払いで買う契約を結んだ。数カ月後「代金を支払えなくなったので解約してほしい」と言われ、紹介された弁護士を通じてクーリングオフの手続きをしたという。
だが、昨年末以降、化粧品代の債権を販売会社から買い取った金融会社2社が女性らを提訴。弁護団が化粧品の契約書を確認すると、多数の条項が並ぶ中に1カ所、「債権を誰かに譲り渡すことをあらかじめ承諾する」などとあり、譲渡後はクーリングオフができない内容になっていた。
(後略)
要は・・
化粧品販売会社の関係者が「代金は私が負担するから分割支払いの契約をしてほしい」という話を持ちかけ、数か月したら「ごめん、払えなくなったのでクーリングオフで契約をキャンセルして」と言ってくる。
そもそも1円も支払っていない購入者は「じゃあそうする」ということで、紹介された弁護士を通じてクーリングオフの手続きをした。
ところが債権は化粧品販売会社から金融会社に譲渡された後だったため、その金融会社から残りの代金の支払いを請求された。
という事件ですね。
で、朝日新聞のなにが中途半端かというと
朝日新聞は化粧品の契約書に、債権を誰かに譲り渡すことをあらかじめ承諾するなどという条項があり、譲渡後はクーリングオフができない内容になっていた。
それは(被告の弁護団の言葉で)クーリングオフを免れるための脱法行為でケシカランといった点に終始。
しかし、読者としては、そもそも数か月も経ってどうしてクーリングオフできるの?という補足が抜け落ちているため、なんだかわけのわからないことになっているようです。
せっかく下記の図にしてくれているのですが、その点には触れられていません。
一般的にクーリングオフの期間は8日以内じゃないの?とか、8日間は知らずとも買った後の数日間だよねってことは概ね読者は知識として持ってるわけで、どうして何か月も経ってクーリングオフの手続きが出てくるのかが記事では説明されていません。
そのため、契約がオカシイとか、販売会社は詐欺だろとか、債権会社はグルだろとか、そんな甘い話があるわけないだろボケとか、債権会社の主張を認めた裁判官はアホかとか、そんな話しの前段階にある
「なんで数か月経ってるのにクーリングオフできるの?」
という疑問で、ニュースの読者は意味ワカランになってしまっているわけです。
そんなときに、はてなのホッテントリに上がっていたブログ記事がありました。
結論から書くと、この人は1回目の振り込みを代わりに払ってもらったあとで、消費者センター経由で解約できたとのこと。
次のステップ(いつの間にか債券が他社に譲渡)に行く前に解約しちゃったケースらしく被害はなかったとのこと。
でも、このブログ記事でもクーリングオフについての疑問は晴れず。
で、推察ですが、ここまで朝日新聞や化粧品購入者側の弁護士が「クーリングオフ」と高らかに連呼して、説明図も起こしているわけですから、いまさら言葉的に「途中解約」の意味でもなさそうです。
そうすると考えられる「クーリングオフ」は2つぐらい?
(1)化粧品販売会社が独自でクーリングオフを契約書に規定している。
そもそも関係する法律(特商法や割賦販売法など)の条文には「クーリングオフ」という表現はない。
なので契約書に書かれている「途中解約できる規定」をクーリングオフと呼称している。
(2)紹介された弁護士から、化粧品を過量販売と主張して解約を求めれば法的にクーリングオフできるということで実行した。
過量販売だと認められれば、法的なクーリングオフ期間は1年間となるため。
なお過量販売とは、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品・サービスを購入する契約を締結した場合、1年以内であれば解除することができる(特商法9条2)とのこと。
国民生活センターの例では、一人暮らしなのにふとんを10セット訪販で買わされたというケースが出ていました。
まあ憶測ですが(1)か(2)じゃないでしょうか。
ただ(1)なら契約書にしたがって途中解約すれば済むような話しで、わざわざ弁護士を紹介するほどの手続きとすれば(2)の過量販売という名目で(契約書には明文化されていないであろう)クーリングオフの申し立てほうのような気がします。
他に考えられそうな解釈があれば、コメント欄で教えてください。
また、この疑問が判明すれば、追記したいと思います。