ペイドパブリシティ、つまり記事の体裁にした広告(記事広告)は古くからある手法で、広告色を薄めて訴求力を狙うもの。
また、昨年あたりから話題になり、消費者庁も規制に乗り出したスティルスマーケティングに関しては、広告であることを完全に隠して宣伝する行為ということで、”騙し”であり”不正”な宣伝行為。
手法の部分でそれらは似ているものの、広告業界では片やシロ(正当)、片やクロ(不正)と一線を画しているとは思います。
しかし、雑誌や新聞でならシロであるはずのペイドパブリシティが、ネットで展開されると、Googleさんが降臨し、手法の名称もペイパーポスト(PayPerPost)と変わって「それはペナルティの対象だ」とクロの烙印を押されてしまうわけです。
PayPerPost=報酬を払って記事を書かせる手法は卑怯だとか汚い手法だ、という価値観が欧米社会には特に強いそうで。
ただしGoogleはPayPerPostを”卑怯”だからNGという倫理感じゃなくて、やらせ記事で品質が落ちた不正確な情報が氾濫すること(=検索ユーザーが迷惑)と、その記事群がもつリンクを有料で買う行為(順位やページランクの不正操作)がNGということだと思われます。
ま、ネットに入らずんばGoogleに従え・・・というところでしょうか。
過去には有料記事を利用した身内のGoogle Japanにペナルティ(ページランクを5に降格)を科した事件も記憶に新しいところです。
で、前置き(?)が長くなりましたが、キングソフト社の件。
キングソフト、ステマ依頼を否定、「ありのまま」執筆してもらう意図と釈明 (2012.09.14/INTERNET Watch)
キングソフト株式会社は14日、同社セキュリティソフトについての「ポジティブな評判形成」のために、ステルスマーケティング(ステマ)ともとれるような協力の依頼を、セキュリティ研究者の高木浩光氏に対して打診していた件について、公式コメントを発表した。ステマとの認識はなかったとしており、依頼文が誤解を招く内容だったことを謝罪している。
(以下省略)
あの武雄市長とのバトルでも有名な高木氏が、依頼メールの内容をTwitterでばらした点は、微妙。特定の有名ブロガーに送られているようだし、スパムメールでないなら(内容はどうあれ)晒すのはちょっとヤバい気がします。
でも、晒されちゃったメールは、ついつい見てしまうものでww、それを読む限り同社の釈明はかなり苦しい感じ。ステマ依頼じゃないというのを百歩譲って信じだとしても、少なくともPayPerPost=報酬を払って記事を書かせる手法。
・・・ということは、消費者庁は法的に許しても、あのGoogleは許してくれない。
執筆掲載サイトもペナルティを食らうリスクがあるような依頼をアルファブロガーらに持ちかけるのは、ちょっと配慮不足か。
結局は、同社の広報さんの意図が
「今後リリースが予定されている製品について、バージョンアップによる改善点や新機能などを、良い点・悪い点含めてありのままに執筆していただきたいと考えました」「新製品のありのままの姿を伝えていただく執筆依頼という意図でした」
という言葉通りなら、「有名ブロガーのレビュー特集!!」みたいに純粋広告扱いにして自分のサイトに集めちゃえば、叩かれもしないし、Googleの品質ガイドライン違反やリンク購入にあたらず、パンダもペンギンもないと思うんですが・・・。
やっぱりこの釈明は、正直苦しいね。(依頼には知恵袋への投稿なんてのもあったわけだし)
ただし、昨日9/13の高木氏の暴露をうけてネットで大きく騒がれはじめて、その翌日9/14の今日、キングソフトが釈明とお詫びをした、その対応の早さだけは迅速で良かったんじゃないかと思います。