反社会的勢力と指摘した企業名を発表しちゃったら?富士通さん。

2010年3月7日、新聞各紙を賑わせた富士通の話題。
富士通前社長(現相談役)の野副州旦氏が社長辞任の取り消しを求めている問題を巡って、富士通は野副氏を相談役から解任する人事を発表。さらに、前社長の野副氏の半年前の社長辞任について、当時発表した辞任理由(病気療養)を訂正。
訂正した新たな理由が「前野副社長と反社会的勢力との付き合い」だったという。

<参考>
ニフティ譲渡交渉が背景に=野副前社長辞任で-富士通(時事ドットコム)
富士通 野副前社長“解任”取り消し動議の全真相(ダイヤモンド・オンライン)

後者のダイヤモンド・オンラインから抜粋引用すると

同席した社外取締役と非常勤監査役から、野副前社長に対して以下の指摘があった。
1.反社会的勢力がついているファンド(ここではAファンドとする)と付き合いがある。
2.子会社(B社とする)の売却交渉先(C社とする)の背後にもこのAファンドがいる。
3.Aファンドについて、ある大手証券会社が“ブラック”なファンドと認定している。
そして、「企業のトップが反社会的勢力と付き合った場合、上場廃止の危険が生じかねない。それを避けるため辞任していただきたい」と強く糾弾された、という。

売却しようとした子会社(B社)は、ニフティであることはすでに後追いのニュースになっていました。
そこで誰しも思う関心は、じゃあその反社会的勢力とした「Aファンド」ってどこの会社?
ついでにブラックなファンドを背後にもつ売却交渉先(C社)はどこだったの?ってこと。
富士通の社外取締役と非常勤監査役が社長を辞任に追い込んだぐらいですから、もしこれがガセな情報だったら、役員間の陰謀とか、少なくとも株主まで無視した密室の役員人事だったことになってしまいます。

すでに富士通は半年前、株主や取引関係者といったステークホルダーはもちろん、マスコミを通じて一般にも「野副前社長は病気療養のため社長を辞任」と虚偽の発表をしているわけで、それだけでもマズイ話。

こうなったら、世間を納得させるために(内容によってはその企業から訴えられるかもだけど)反社会的勢力とした企業名を発表するしかないんじゃないの?富士通さん。

(追伸)
ついに東京証券取引所も本日、富士通側から事情を聴き、事実関係の調査に乗り出したというニュースが出ました。
東証、富士通を調査 前社長の辞任理由訂正問題で
上場企業なんだから株式市場にも責任があるわけで、当然だと思いますよ。

(追伸)
反社会的勢力とされたAファンドの代理人は、のぞみ総合法律事務所(千代田区)の筆頭の弁護士、矢田次男氏。先生はググると結構有名人というか、やり手のようです。
主要取扱分野を見ましたが、

コンプライアンス、危機管理、企業防衛、法務デュー・ディリジェンス、 反社会的勢力対応等

(※強調は私)ですよ。さらに著作・論文等の項目には『新・名誉毀損~人格権と企業価値を守るために~』って。
野副前社長、いや、そのAファンドにとってはピッタリな弁護士じゃないですか。
ファンド名がポロッとどっかで流出しちゃったら、矢田大先生が出てくるわけで、結果的に野副前社長にとってもラッキーな気がします。

(2010.05.18追記)
出典引用が先月の日経ビジネス(2010.4.26号)と新鮮味ゼロに近い話ですが、例の反社会的勢力のその後。

結局は反社会的勢力自体の団体名は出てこなかったけど、そことつながりがあると言われていたのは、記事ではサンドンリンガムという会社とか。

以下、記事を勝手にかいつまんで引用

2009年2月、野副社長(当時)がニフティをフリービットに売却提案。仲介役は投資ファンドのサンドンリンガム・プライベートバリュー(SPV)の鳥井洋一代表。

2009年9月、間塚会長秋草取締役相談役、山室監査役ら6人より、そのSPVの関連するサンドンリンガム(親会社はサンドンリンガム・キャピタルパートナーズ)に反社会的勢力がついていると、野副社長に責任を問い辞任に追い込んだ。

で、そのサンドンリンガムという組織がクロなのか白なのか、ですが、そこは結局結論が出ないまま。

う~ん。どこまで行っても尻切れトンボな話のようです。

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