Googleフォントによって、有料フォントの牙城が崩される日が来るのかも。

グラフィックやWebを問わず、ほとんどのクリエイターのPCは、基本としてモリサワの高額なフォントセットがインストールされ、追加扱いでフォントワークスなどの書体を入れている場合も多く見受けられます。

価格的にはモリサワの全書体のフォントセット(モリサワパスポート)で年間49,800円(台数に比例して割引あり)。例えにしたフォントワークスは金額を公開していないようですが、おおむねモリサワの約半額程度(年間2万円台)。

このようにデザイナーのPCには、年間約5万円から7万円程度、有料フォントのライセンス費用がかかっている場合が多いと言えます。

正直、フリーランスにとって制作会社にとっても痛い出費のはずです。

閑話休題。

2014年7月16日、GoogleがAdobeと協力して日本語、繁体字、簡体字、韓国語に対応したフォント「Noto Sans CJK」を公開しました。

このフォントに関しては下記のOXYさんという方のブログに丁寧に書かれています。

Google Fontsの日本語フォント「Noto Fonts」の使い方

OXYさんの記事の一部を引用させていただきます。

Noto Fontsとは何か
Noto Fontsとは、GoogleがAdobeと協力して作るフォントセット(ファミリー)です。「世界中の言語を1つのフォントセットで表現する」という野心的な試みです。
フォントセットにない文字を使うと表示される豆腐文字を撲滅するべく作られたそうです。Googleが言わくno more tofuとのこと。略してNotoというわけです。

引用文に「あった
「世界中の言語を1つのフォントセットで表現する」
ですが、これは多言語のWebサイトを制作した経験がある人には、よくわかると思います。

特にアジア言語である日本語、韓国語、繁体字、簡体字などのある多言語サイトでは、各言語に共通した書体がなかったため、トーンや見た目の印象に違和感がでてしまうのですが、この「Noto Sans CJK」をWebフォントとして使うことによって言語が違っても書体の雰囲気が統一できます。

下記は7種類の太さの真ん中(Regular 400)の太さです。

さらに、Webフォントを採用することで、WindowsPCやMac、各種タブレット、スマートフォンなどのデバイスフォントに依存しないため、全デバイスで同じフォントでの表示も可能となりました。
WindowsPCではこの書体、Macではこの書体とか、Android端末で太字が使えない、といったデバイスごとの対応や配慮が不要になるわけです。

実際にこの私のブログは「Noto Sans JP」を2016/12/22以降、フォント指定して使っています。

そのため、PCもスマホも同じ書体で表示されていて、Androidでも太字(BOLD)のところは太字になっています。

Webフォント自体はGoogleに限らず、すでに多々サービスがありますが、日本語のWebフォントという点ではおよそ7000近い漢字(重さ)という大きな壁がありましたが、ネットワークの高速化もあって最近では読み込みの遅さについては気にならなくなっています。

ただ、導入しようとすれば、Googleフォントを除けば実質的な第一候補はモリサワでしょうが、モリサワの場合、当然アクセス数によって費用がかかるという点で導入する側も二の足を踏んでいました。

モリサワのWebフォントがらみでは2014年に下記の記事を書いています。
Webフォントを試した話。(2014/07/26)

その「費用がかかる」という点で、GoogleのNoto Fontsはオープンソース(無料)であり、コストの問題を無くしてしまいました。
かつ、GoogleフォントはWeb以外にもダウンロードしてPC上で使えます。

そうなると、Googleは今後どこまで日本語フォントの種類を増やすのかが、気になるところ。

多種多様な種類を開発するモリサワやフォントワークスのようには作れないとは思いますが、欧文フォントに関しては相当な種類を公開しているのも確か。

(参考)Google Fonts

モリサワもAdobeとの提携(Adobe Creative Cloudへのフォント提供など)をしていますが、そのAdobeは二股というかGoogleとも協力関係にあります。

Googleが(Adobeと協力してSansを公開したように)フォントを作っている企業やクリエイターからライセンスを買ったり協力を募ったりして、GoogleフォントのFamilyに加えたりしたらどうでしょう。

そうやってGoogleが本気を出して片っ端からフォントをオープンソース化して公開したら、モリサワにも大きな影響が出るはずです。
あの書体業界ナンバーワンだった写研でさえ、DTPでAppleやAdobeと手を組んだモリサワに抜かれ、栄枯盛衰というか今は見る影もないわけで、その写研を抜いたモリサワもうかうかしていられないかも知れません。

過去に「駅すぱあと」というソフトを2,000円ほどで購入してPCにインストールしたことがありますが、今じゃYahoo!が「駅すぱあと」のヴァル研究所にライセンス料を払ってYahoo!の路線検索となり、無料で使えてしまう時代です。

制作側としては、多彩なフォントが淘汰されるのはマイナスですが、オープンソース(無料)が増えることは歓迎するのも確か。

行方を見守りたいというキモチです。

なお、私は従来メイリオを使って企画書などを書いていましたが、個人的にメイリオのクセがあまり浮きではなかったので、最近はPCに「Noto Sans CJK」をインストールして使っています。

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