表題のとおり京都地裁で2017年4月25日、削除命令が出ました。
しかし「ネットの電話帳」運営者は削除命令を受けたが判決を不服として大阪高裁に控訴したとのこと。
サイトを確認すると、削除命令を受けたことから削除要請だけを受け付けるようになっています。
その削除要請は、書面にて、住民票の写しを郵送せよということです。
なお、判決の要旨は下記にあります。
株式会社エル・アイ・シーという会社さんのサイトに判決ダイジェストというコンテンツが上がってましたので引用します。
電話帳を無料サイトに掲載,運営者に削除命令(
NTT発行の紙の電話帳をもとに,氏名や住所,電話番号を無料電話帳サイトに掲載されたのはプライバシーの侵害だとして,京都市の男性がサイト運営者に個人情報の削除と50万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があり,伊藤由紀子裁判長はプライバシー侵害を認め,男性の個人情報の削除と5万円の損害賠償の支払いを命じた。裁判ではネットに掲載された原告男性の氏名や住所,電話番号,郵便番号がプライバシー情報にあたるか否かが争点となった。判決は「個人の私生活上の事実,情報であり,他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報だといえる」とプライバシー情報と認め,法的保護の対象となるとした。
以下は2016年5月13日に書いた記事です。
「ネットの電話帳」はプライバシー侵害、かつ「反道徳的」な行為。
「ネットの電話帳」という個人のサイト(2012年6月開設)があります。
氏名と都道府県や市町村等で絞ると、住所及び電話番号が表示されます。
少し珍しい名前だったり、珍しい名前でなくてもある程度住んでいるところに目ぼしが付く場合は、ほんの数10秒で特定されてしまうわけです。
元は過去(2000年版、2007年版、2012年版)のNTTの個人名電話帳「ハローページ」のデータで、サイト主(男性)曰く、「公開された事実を提示したに過ぎない」という話。
確かに個人名電話帳(ハローページ)というのは、特定の地域内で特定の個人や商店(業種)などの電話番号を調べるというのが主な目的でしょう。
しかし電話帳という印刷物であれば、まずはどこの市町村に住んでいるとか、店を構えていることを事前に知っていなければ実際には調べきれません。
また、全国の10年前や15年前の古いものを入手するのも困難ですし、そういったアナログ的なめんどくささがあって、ある意味興味本位な使われ方がされにくいものだったと思います。
それがデータとなって、自由に、全国で、古いものまでネットでサクッと簡単に調べられるというでは、話がまるで違ってきます。
確かに電話帳データを企業が購入して使っているというのは、テレアポ会社を経営していた(今は廃業)知人が教えてくれました。
特定の地域で一軒家っぽい住所の電話番号にモニター集めのセールスをしていたと言ってましたが、購入したものを無料で一般にネット公開するという発想は購入企業にはないはずです。
さて、その「ネットの電話帳」の個人情報保護方針ページには
削除要請について
弁護士、官公庁、警察、暴力団等、どのような個人、団体、組織、機関によるものであっても、個人情報保護法・施行令に従い全て断固として拒否します。 例外はありません。
と、(個人情報保護法・施行令に従い、削除要請拒否って意味不明ですが)書かれています。
気付きませんでしたが、産経WESTでも記事がありました。
「ネットの電話帳」はプライバシー侵害か NTT「公開情報」で打つ手なし “削除要求”にヤフー、グーグルも苦慮
NTTの電話帳に掲載された個人情報をインターネット上に転載することはプライバシー権の侵害にあたるのか。京都市の男性が、インターネットサイト「ネットの電話帳」に転載された個人情報の削除をサイトの運営者に求めて今夏、京都地裁に訴訟を提起した。(以下省略)
訴訟は京都の島崎法律事務所のサイトにありました。
「ネットの電話帳」によるプライバシー侵害【本日、提訴】 2015.8.14
この法律事務所の記事にもありましたが、昔は電話帳に氏名、住所、電話番号を掲載していたとしても、そんな古い「公開された情報」を今さらネットに晒されるのは苦痛に思う人は少なくなく、当該サイトの掲示板には削除を求めて批判が溢れています。
過去掲載していたというのは10年、20年前なら別に特別なことではありません。
過去に掲載してただけで、今だにネットで自分の電話番号と住所が特定され続けられ、拒否もできないのは(リベンジポルノっぽくて)カンベンです。
そういった自分の氏名から住所や電話を知られたくないという個人の意思を無視するのは、違法かどうかはともかく、どう考えても「反道徳的」な行為でしょう。
残念ながらNTTの電話帳データは著作権とは認められないようで、最近話題になっているDMCAにも侵害の申し立てができなさそうです。
今は上記の島崎法律事務所(京都)の弁護士さんが頑張ってくれるのを願うしかないようです。
> 今は上記の島崎法律事務所(京都)の弁護士さんが頑張ってくれるのを願うしかないようです。
頑張っております。
双方が控訴して、高裁判決は、11月16日(木)の予定です。
おおっ!弁護士の島崎先生から直接コメントをいただきました。
先生、ありがとうございます。
そして、ぜひ頑張って勝訴を勝ち取って欲しいものです。
島崎先生頑張って下さい。