年収100万、200万円台の社員がぞろぞろいる映像制作業界。


「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」が今月中に実施のはこび、というニュースが2009年2月に総務省より公表されました。

朝日新聞(2009.02.22)の記事で
「年収100万、200万円台の社員がぞろぞろいる」(大手プロダクション社長)
というところが印象的でしたが、そのガイドラインとは、いわゆる放送局による番組制作会社への「下請けいじめ」をなくそうという趣旨の自主ルールだそうです。

いじめと言っても別に悪意があるわけじゃないでしょうが、具体的には発注書の交付拒否や発注書に金額の記載がない、買いたたき、とか。番組の著作権が製作会社にある場合にもかかわらず、著作権、著作隣接権、所有権、二次利用権の一切は放送局に帰属させられる、とか。

多チャンネル化とか映像コンテンツの不足とか言われている片方で、若年層のテレビ離れ、ネット依存などで視聴する人口は増えていないわけで、財源は増えないのだから質を落とすか買い叩くかしかないという流れ。
私も弱小CS番組提供会社の仕事をしたことがありますが、その時は1本30分番組で40万とか50万とかの超低空飛行な予算。仕方なくのおつきあいで数本やって、改編時にゴメンと辞退しましたが、どうやりくりしても赤字でした。

ただ、ちょっと思ったのは、下請けいじめが改善されたら、次は社員の賃金UPにつながるってこととも思えません。
一部の制作会社(プリプロダクションとか技術会社)としておきますが、就職希望者の足元見過ぎ。「業界」とか「TV番組制作業界」を煽って、使い捨て的に若年層を雇い、超低賃金を維持している体質の会社もあります。
ADは未だしも、ビデオエンジニアとかカメラマンさんとか、映像制作を学んで業界を目指している者にとっては、所得の平均レベルを下げられていい迷惑。
下請けいじめが改善されたら、総務省も「ハイ、おしまい」じゃあなくて。逆にそういう体質を変えられないプロダクション自体も、健全性をチェックすべきじゃない?って思った次第。

(2017年3月21日追記)
2009年3月10日に記事を書きましたが、その後、映像制作業界はどう改善されたのでしょうか。
相変わらずビデオエンジニアやカメラマンさんの1日単価は上がらず、制作費も改善していないように思います。
地上波の番組予算はまだしも、CSやケーブルとなると地上波の制作会社では絶対不可能な費用だったりします。
1チェーンでロケに行き、15分番組を編集して6万円とか。
受注するほうが(業界にとっては)悪いと同業者からお叱りをうけそうな金額だったりします。
それでも遊ばせるよりはマシ的な事情で受ける会社もあります。

もはや視聴するというニーズの減少と乱立するメディアのアンバランスは、市場原理というか神の見えざる手によって淘汰が必要なのかも知れません。
また、今春はDAZN(ダ・ゾーン)が黒船のように日本に進出してきましたが、なぜか制作費がアップしたという現場の声を聞きました。
CSが登場したときはメディアの乱立を引き起こしましたが、逆にDAZNなどが引き金となって不要なメディアの整理に進むのでは?とも思ってしまいます。


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